八日日記

-反転-

ここを登って行くのは、なかなか辛いね。 なんか良い手立てはないの? 「登ると考えるのは自然な考えですね。 では、登るより楽なことは何ですか?」 え? んー…… 降りる、は楽だと思うけど。 「ならば、降りることを考えてみましょう」 はい? 上に行きたい…

-潔白-

「すべてをひけらかすことの何が罪だというのだろうか。 あるものすべては、知られるためにあるのではないのか」 でも、でもさ、 隠したいことの一つや二つ、誰にでもあるんじゃない? 「なぜ隠す必要があるの? すべては等しく共有されるべきでしょう。 独…

-標準-

……あのさぁ。 「なんだ?」 さっき手に入れたこの得体の知れない装置だけどさ、 『非標準モード』の方しか使ってないよね? 「それがどうかしたか?』 えっ…… だって、普通の状況では『標準モード』を使うのが普通でしょ? 道中、十数回使った気がするけど、…

-双対-

「よくきけ。 Dsは『そうついせい』をもってこうかんしている」 双対性? 「そうだ。 やつに『もとのくみあわせ』をわたせば、 たいおうする『べつのくみあわせ』をわたされる。 そして、その『べつのくみあわせ』をわたせば、 『もとのくみあわせ』がかえさ…

-祝福-

おめでとう、なんだろうな。 でもなぜだろう。 ぼくはちっとも嬉しくないや。 心の底からのおめでとうが、言えない。 「わかれをともなう しゅくふくは、 ときに ざんこくなものだな。 だが、それいじょうに いまのおまえは ざんこくかもしれんが」 ……そうか…

-褒貶-

「これでいいか」 あんた、やっぱすごいな。 「たいしたことではない」 うん、そんなにすごくもないけどね。 「……」 あ、いや、 ちょっとだけすごいなと思ってね。 「ほめているのか? けなしているのか?」 あれ? 貶してるように聞こえた? そんなつもりは…

-即決-

ねえ、この道どっちに…… 「こっちへ行こう」 ……あ、そう。 そいじゃ、洞窟の方か、それとも…… 「塔のほうかな」 ……あら、そう? で、下から探すか上から…… 「上からにするよ」 ……あのさあ、ちょっとは悩まない? ひといき休憩が…… 「悩んでる時間がもったい…

-拮抗-

――ハア、ハア、 ……ハハハ、ハハ、 楽しませてくれるじゃねえか。 ……おうよ。 もっと簡単に決着をつけるつもりだったけど、 ……あたた、上手くはいかないもんだな。 ――フン、そう甘くねえさ。 てめえも信念懸けて臨んでんだ。 易々と敗れてなるものか。 それは…

-貸借-

これだけあれば十分足りるでしょ。 ほらほら、持ってけって。 ――ふむ。 なるほど、頼んだ以上の数が揃っている。 だろ? だからさ。 さっさとここを通してよ。 時間がないんだよ。 ――何故通さねばならぬ? ……は? もしかして、約束を忘れた? 9個の宝を集め…

-召集-

――オーイ、オーイ、オーサマガオヨビ!!―― 王様? 王様がなんだろ? 王様か……しかたない、行くか。

-予言-

なあ、あいつはさあ、あの時 『お前らは二度とここを訪れない』 そう言ったよね? 「ああ」 そして、 『望まずとも自ら鍵に辿り着く』 こうも言ったんだ。 この予言がことごとく当たっているから、 どうも信じないわけにはいかないんだけどさ。 でも今こうし…

-無能-

なにもできない。 できることがない。 ……いったい、何のために、 ここにいるんだろう。 「いきとしいけるものは、 しぜんのまえには、むのうだ。 しぜんからうまれたものが、 どうしてしぜんにさからえる?」 でも、それじゃ、 何のために生きているっていう…

-墜落-

こんな天気のいい日に こきつかわれるってのは嫌なもんだ。 なんだって呼び出すのかなぁ。 人の気持ちを考えろっての。 ……ん? なんだか空が急に暗く…… 何か落ちて…… ……ちょっ、こっちに来る!? ――ガッシャーン―― きゃあ〜〜〜!! ……はっ! 何が起こったん…

-前夜-

……はあ、 これで……終わるのか。 「そうだな」 ……終わる。 終わってしまうんだ…… 「なにがいいたい」 いや、まあ、その、 ……うん。 「……」 ……失うことばかり見てちゃ、駄目だよね。 出会いあっての別れ、 そして、別れるからこその出会い…… 「……とにかく、 す…

-阿呆-

「阿呆!」 うわっ! びっくりした! 何だよ、いきなり! 「今の立場考えてみ? 今それ云うとこちゃうやろ?」 ちょっと労わっただけじゃないか! そんな風に言われる筋合いがあるか? 「間を読め云うてんねん! その労いが刃と化してる云うこと、 分かって…

-過誤-

こっちこっち。 ほら、この道だよ、きっと。 で、そこにある吊り橋を渡る、か。 ……ふぅー。結構高いよね、ここ。 ま、怖気づいても仕方ないし、 ぱぱっと渡っちゃいますか……って、 う、うわぁっ!? 「おわれてることをわすれるな。 ぼやぼやしてるとやられ…

-遠目-

――睨み続けること、三時間―― 「おい、なにかみえたのか」 んにゃぁ。なあんにも。 そもそも、これが何かに見えるってのは本当なわけ? 「やつはたしかにそういった。 それに、やつらはうそはつかん」 その前提は本当に正しいの? 何を基準に嘘つかないって信…

-再敗-

――お前は勝つための努力をしたか。 ……したさ。 特訓して、強くなったつもりだよ。 いや、遥かに強くなった! 単に暴れ回しただけじゃない。 調べて、試して、身に付けた。 もう、勝てるはずなのに、 ……なのに、何で…… ――確かにお前は強くなった。 力だけでは…

-協力-

「ほんとうにだいじょうぶか?」 あーうん、なんとか。 よいしょ、っと。 それで、一体何が起こったんだ? 「……」 分からないのか…… それにしても、ジャンチュンの応援は早いねえ。 ここはナンス軍の領域でしょ? 他の軍が勝手に入っても良いの? 「ああ、た…

-漏息-

ふぅー…… やっと切り抜けられたか。 もう、どれだけ罠を仕掛けりゃ気が済むんだよ。 ねぇ? 「ああ。 しかし、どんなところにも ろうそくのま はあるのだな」 蝋燭の間? 蝋燭なんて、どこにもないじゃないか。 「いきをもらすま、だ」 漏息の間? へぇ、変…

-白猫-

うーん…… やっぱり進めないか…… あいつの言うように、無理なのかなぁ…… ――手を貸しましょうか。 ん? まただ…… 誰? 誰か居るのー? ――ええ、目の前に。 え? わっ! いつの間に!? 「いつの間にって、貴方が二度も訪れる前から此処にいますけど? 細かい話…

-大岩-

駄目だ…… ハンマーで叩いても壊れない…… これじゃ、ディフェ……なんとかを倒しに行けないじゃないか! 「defectisだ」 なんでも良いけど、どうすれば壊せるんだ? ――手を貸しましょうか。 ん? 誰? 今何か聞こえなかった? 「なにも」 そう……気のせいかなあ。…

-喪失-

………… ……ふぁあぁ…… ………… ……うん? ……あれぇ? ……おっかしいなぁ。此処は何処だ? 「おい、おきたのか?」

-正義-

この世界を作ったのは、自分自身だ。分かるな? そしてその舞台に、正義を造った。 ビザード。嘘を造らぬ存在。真実という正義。 リット。我を折らぬ存在。自信という正義。 ジャンチュン。他を陥れぬ存在。利他という正義。 フェスト。楽を失わぬ存在。利己…