-予言-

なあ、あいつはさあ、あの時
『お前らは二度とここを訪れない』
そう言ったよね?


「ああ」


そして、
『望まずとも自ら鍵に辿り着く』
こうも言ったんだ。
この予言がことごとく当たっているから、
どうも信じないわけにはいかないんだけどさ。


でも今こうして、
あいつの居た場所に向かおうとしている。
あいつが『鍵』を持っているかもしれないからだ。
どういうことなんだろう?


「……ことばどおりにうけとめるならば、
 そこにいくひつようはないのだろう。
 あるいは、そこにはたどりつけない ということだ」


うん……
今あいつのところへは、望んで向かっているんだ。
だから、期待通りの結果にはならないかもしれない。
だけど、引っかかるんだよな……


「なにがだ?」


はじめにあの場所へ行った時、
あいつは驚いていた。そんな風に見えた。


この出会いを予知していたとは言っていたよ。
その日、その時間に出会うということさえも。
それに、あいつに出会うまでのこっちの行動をすべて言い当てたし、
別れてすぐ起こる出来事もぴったり言い当てた。


それなのに、あいつは何の準備もしていなかった。
知っていたのなら、薬の調合を済ませておけばよかったのに、
そうすれば、3日も待たずに済んだのに。
何か、あいつが嘘を吐いている気がしてならないんだよ。


「……そういうことか」


……え?


「やつはすでに『かぎ』をみつけている。
 そしてやつは、『おまえら』のとうちゃくをまちわびている」


……どういうこと?


「きっと……
 『おまえら』のとうじょうにおどろくことだろう」