-祝福-

おめでとう、なんだろうな。
でもなぜだろう。
ぼくはちっとも嬉しくないや。
心の底からのおめでとうが、言えない。


「わかれをともなう しゅくふくは、
 ときに ざんこくなものだな。
 だが、それいじょうに
 いまのおまえは ざんこくかもしれんが」


……そうかもな。
でも、不幸を願っているわけじゃないんだ。
あの幸せそうな顔を崩したくはないさ。
いつまでも幸せでいて欲しいんだよ。
ただ……


「……」


……



「……おまえのまけなんだ。
 なにもしないやつに、けっかはついてこない。
 もしも、ぶちこわそうというきがあるのなら、
 いまからでも おそくはないが」


……いや。
いいよ。
どうせぼくの力じゃ及ばないんだ。


「そうか。
 なら……いや」


ん? 何?


「おまえが どうかは しらないが、
 おめでとうをいいたくなった」


は?


「……おめでとう」


何が?


「さあ」


どういう意味?


「べつに」


んー、訳が分かんないぞ!
もうどうでも良くなってきた!
ちょっとあいつらを一言祝福してやる!
おめでとー!!


「……ありがとう」