-双対-
「よくきけ。
Dsは『そうついせい』をもってこうかんしている」
双対性?
「そうだ。
やつに『もとのくみあわせ』をわたせば、
たいおうする『べつのくみあわせ』をわたされる。
そして、その『べつのくみあわせ』をわたせば、
『もとのくみあわせ』がかえされるのだ。
このことをりかいすれば、しょうりはちかい」
双対性を利用する…?
「わからないのか? こまったやつだ。
しかし、おまえじしんがやらなければ、
やつは おまえのちえをみとめない。
おまえがやるしかないのだ」
……うん、わかった。
さて、と。よし、まずは状況を整理してみよう。
やつ——ディーズと名乗っているけど——は、思考ゲームを持ちかけて来た。
こちらの手元には「3つの黒い石」があり、
ディーズは無数の「黒い石」と「白い石」を持っている。
ディーズは決まったルールで石を交換しており、
3つまでの石の組み合わせを、別の3つまでの石の組み合わせに交換する。
今手元にある「3つの黒い石」を「3つの白い石」に交換できれば、
こちらの勝利となる。降参すれば負けだ。
うーん、こんなところかな。
あとは、あいつが言っていたように、重要なのは『双対性』と。
じゃ、始めますか。
まさかとは思うけど、ものは試しだ。
黒3つを渡してみよう。
・黒3→黒2 手元:黒2 白0
あれ、1個減ってしまった。
でも、白を増やしたいからいいのかな?
じゃあ、黒2つだとどうなるのかな?
・黒2→黒3 手元:黒3 白0
あらら、元に戻った。
……あ、そうか!
『双対性』というのは、このことなんだね!
3つ渡して2つになるなら、2つ渡せば3つに戻るということだ。
ということは…?
今の状況で意味のある交換は、黒1つのときだけなんだ。
なぜかというと、今渡せる石の組み合わせは
黒1つ、黒2つ、黒3つの3通りしかなくて、
黒2つと黒3つは双対だから。
あ! しかも、もう1つわかることがある!
黒だけの組み合わせは、さっきの黒1つ、黒2つ、黒3つの3通りしかないんだから、
黒1つを渡せば、返ってくる組み合わせには確実に白い石が入っているはずだ。
そうじゃなかったら、解けるわけないもんね。
・黒1→黒1白1 手元:黒3 白1
ほらね!
黒1つに対して、黒白1つずつが返って来た。
正解に一歩近づいたかな?
じゃ、次の交換は……こうしてみよう。
・白1→白1 手元:黒3 白1
え…?
白1つ渡すと、白1つが返って来た?
ちょっと待ってよ、別の組み合わせじゃないじゃん!
どういうことだよ、ディーズ!
——ゲーム中は質問には答えません。
それとも、降参するのかい?
しないよ!
……うーん、どういうことだろう。
ん? もしかして、『変わらない』交換ルールもあるってこと?
確認のために、もう1回試してみよう。
・白1→白1 手元:黒3 白1
そうだ、きっとそうだよ。
白1つは白1つと交換するルールなんだ。
それじゃあ、他に意味のある交換ができる組み合わせは……
あ、これがまだだね。
・黒2白1→白2 手元:黒1 白2
おお、今度は別の組み合わせになった。
うん、どんどんゴールに近づいている感じがするね。
今度はこの3つの石を全部渡してみよう。
・黒1白2→黒1白2 手元:黒1 白2
おおっと? これは変わらない組み合わせなのか。
でもそうすると、今ある石の組み合わせは全部試したことになる。
まだ一度もやってない組み合わせは、えーっと……
んん? 白3つの組み合わせだけがまだなのか。
白3つは何に交換されるのかな……
あ、そうだ! 『双対性』があるんだから、
組み合わせが1つしか残っていないときは交換しても変わらない、
つまり、白3つを渡すと白3つが返ってくるんだ!
ということは、これで交換ルールは全部わかったぞ!
全部をまとめてみよう!
・黒3←→黒2
・黒1←→黒1白1
・白1←→白1
・黒2白1←→白2
・黒1白2←→黒1白2
・白3←→白3
あとは、このルールを使って手元の石を白3つにするだけだ!
勝利は目前! あせらず急げー!