情報社会、ねぇ。

テレビの人って、「情報」が嫌いなの?
それとも、自分たちが扱っている物を「情報」だと思い込んでいるの?
「情報」というのはどれだけ手に入れにくいか、珍しいか、
そのことだけで価値が決まるものであって、
どれだけたくさんの人の心を動かしたか、ではないと思うのですがね。
理屈ばかり言っても仕方がないのだろうか。


まあ、テレビの人がどう思うかは勝手なのですが、
それを一般大衆に押し付けられると、情報をやっている人が困ります。
情報屋さんは、とかく不当な扱いを受けがちです。
目に見えないからよくわからない?
確かに見えませんよ、論理なんてものは。


ここでひとつぼくがびしっと
「情報とは何ぞや」
と題した講釈でも垂れ流せると万事解決なのですが。
ああ、不甲斐ないなあ。
ああ、この記事にも情報量が足りない。


そう、情報量とはテキストの長さじゃないんです。
いかに誰も知らなさそうな内容か、ということなのです。
ここに書いてあることは、誰でも書けるようなこと。
大雑把に言えば、「要約文の長さが情報量」と言えるでしょう。


だからですね、
ここまでの内容を要約しますよ?
「テレビへの愚痴を吐いて、要約文の長さが情報量とか書いてる」
ほら、1行分しか情報量がなかった。
「テレビへの愚痴」もいらないかもしれない。
だって、みんな愚痴ってるからね。


それでも、ぼくは愚痴る。
嫌いじゃあないんだよ。
どちらかというと、好きなんですよ、「ほこ×たて
でもね、もう「情報」に手を出さないでもらえませんかね。
ただでさえ目に見えなくてわかりにくいものを、
むりやり別の言葉で表現しないでください。
なんのためにその言葉があるのか。
それ以外に表しようがないからなんですよ。


「ファイルの名前を変えた」だぁ?
聞くところによると、ファイルを暗号化したって話じゃないですか。
そりゃ変わりますよ、ファイル名。
みなさん、暗号化くらい知ってますよね?
……いや、そこの認識が、甘いんだろうなぁ。


いちばん簡単な暗号化について、説明しますね。
簡単すぎて絶対に使われない方法「1文字ずらす」
たとえばその方法で「hello.jpg」というファイルを暗号化すると、
「ifmmp.kqh」というファイルになります。
確かにファイル名変わってますね。
でも、変化の仕方には規則があるんです。
セキュリティというのは「見つからない」、「盗まれない」だけでなく、
「必要なときに使える」ということも重要な条件なのです*1


この場合の変化の規則とは、アルファベットを1文字ずらすこと。
hの次はiで、eの次はfという風に。
変化の規則を知らない人にはこのファイルは意味がわかりません。
1文字ずらしたことを知っている人は、逆に1文字ずらせば読めますね。
規則を知っている人にしか読めなくするのが、暗号化です。
適当にファイル名を変えてしまったら、
本当にそのファイルが必要な人すら見つけられなくなってしまうのです。


ただし、残念ながらこの程度の暗号は一瞬で見破られます。
素人にもできることです。
「ifmmp.kqh」というファイル名ですが、どう考えても「.kqh」が怪しい。
「kqh」なんて拡張子、見たことがありません。
これを意味のある拡張子に戻そうと考えると、1文字ずらせば「jpg」じゃん。
なら前半も同じように戻せば「hello.jpg」で、ミッションコンプリート。
……という手順は、お手持ちのコンピュータでも一瞬でできるはずです。


そう、情報戦においていちばん面白い部分は、ここ。
どういう規則で名前を変えて、それをどういう手段で解読するか、です*2
そのいちばん面白いところが、
「ファイルの名前を変えた」
というナレーションでスルーされてしまったわけです。
んー、なんだろ。
かの「ドリルvs.金属」で例えれば、
「ドリルはお見せできません。金属もです。ではセットします。穴は空きませんでした」
こんな感じかな? 違うかな?


で、今回の対戦で使われた変化の規則ですが、
適当なことを言いますけど、スパコンを使っても解けませんね。
15時間では、いや、もしかすると1年あっても無理かもしれない。
ハッカー*3たるものそれくらいの知識はあるでしょうから、
打たれ弱いわけじゃなく、白旗振るしかないわけで。
あくまでも想像ですよ。てきとーてきとー。


というわけで、ルールが悪い。
始まる前から勝機なんてないんです。
侵入成功というのもWindows XP脆弱性を突いた、
つまり、システムがもともと持っている弱点につけ込んだだけというのが
真相らしいです*4


今のところ、情報セキュリティが負ける要素ってないんじゃないですか?
流出だのなんだのって、結局は人間の油断じゃないんですかね?
……なんていうと、言い過ぎなのかな?
この辺り、上手く理解できていないんです。
ただ、慢心してはいけませんが、悲観することもないですよ。
思っている以上に、「情報」は強いですよ、きっと。


……とかなんとか書いていると、もうてっぺんか。
なんだか、明日になったらセキュリティ側の方が解説を書いてくださるそうなので、
それを読むのが楽しみです!
そんなわけで、おやすみなさい。
とことん愚痴ったので、スッキリです。


暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

暗号解読 下巻 (新潮文庫 シ 37-3)

*1:情報セキュリティの三要素として、機密性・完全性・可用性というものがあります。

*2:あ、ぼくにとっては、ですけどね。

*3:これもマスコミのせいでと言いたくなることですが、ハッカーというのは一応、善悪関係なくコンピュータに精通している人を指しますからね。いや、もうどっちでもいいけどさ。

*4:残念ながら、セキュリティホールとかにはあまり詳しくなくてですね。ごめんなさい。