絵文字の破壊性

よく、絵文字のないメールは素っ気ないと言われます。
ただ普通に、時には楽しみながら書いているのに、
不機嫌なの? と感じられることもあるようです。


まあ確かに、一切画像のない、文字だらけのウェブサイトを見ると、
そっとブラウザを閉じたくなる気持ちはわかります*1
ただ逆に、フラッシュ広告がそこら中で明滅するがごとく、
アニメーション付きの絵文字だらけというのも、
ごちゃごちゃして好きではないのです。
しかしこれは、ゲームセンターを騒音と思うか、
といった問題でもあるような気はしますが*2


それよりも、ぼくが絵文字に対して「怖さ」を抱く点があります。
それは、絵文字の持つ視覚効果です。


視覚的な効果は侮れなくてですね。
普通の文字というのも、目で見て読んでいるのには変わりないのですが、
実際は、それを「音」として認識しているようです。
つまり、普通の文字は、聴覚的に判断しているらしい、と*3
対する絵文字というのは、まさしく視覚的に認識します。


視覚から入る情報というのは、聴覚のそれよりも情報量が多いのですよ*4
その分、正確に状況を示すことができると言えます。
「(笑)」はどれだけ笑っているのかは読み手の判断次第ですが、
「^^」や「^o^」、「^m^」などの使い分けがあると、
愛想笑いかな、含み笑いかな、といったことが直感的にわかりそうです。


裏を返せば、ピンポイントに感情を突き刺すこともできうるのです。
ケータイの絵文字には「ムンクの叫び」みたいな絵文字がありますが、
ぼくは未だにあれが苦手でして。
というのは、一種の脅迫文の文末に、その絵文字がついていたからなんです。
もちろん、相手にとってはお遊びに過ぎないのでしょうし、
絵文字がなければ、ぼくも面白い冗談だと笑えたかもしれません。
ただ、その絵文字があることで、妙にリアリティが増してしまったようなのです。
それがきっかけで関係が崩れたということは全くありませんが、
でも、数年前のエピソードがぼくの心には強く刺さってしまっているんです。


些細なことです。
今書いてみても、なんでそんな小さなことを気にし続けるのかと、
そう自分に問い直したくなるほど、ちっぽけなできごとです。
けれども、残っているのです。
ちっぽけなできごとが、今なお脳裏を過ぎていくのです。
それこそが、「視覚効果」なのです。


絵文字というのはあまりにも手軽です。
絵心なんて、全く必要がありません。
ただし、少しばかりのセンスは必要みたいです。
でないと、他人の心にチクチクと穴をあけているかもしれません。
……なんてね。



と、ここまで書いておいてなんですが、
実際には、絵文字にも建設的な部分があります。
というか、メリットが大きいからこそ、よく使われるわけで、
そのメリットは何かというと、やはり「視覚効果」なんです。


便利だからこそ、気をつけて使わないと、
誤解を招いて喧嘩の種になります。
それは「メールのマナー」とか「ネチケット」といわれる基本的なことですが、
絵文字はただの文字より、ちょっとだけ強いんだよ、
伝えるにも滅ぼすにも、影響が強いことを、再確認しておこう。


ま、この時代にもなると、絵文字を適度に「使う」ことも
一つのマナーになりそうですね。
最近は「スタンプ」という新しい概念も登場しているようで、
絵文字すらわからないぼくは、すっかり取り残されています……

*1:画像少なくてごめんなさい!

*2:ゲームセンターは……うん、静かなところの方が好いですね。

*3:真偽のほどはよくわからないんです。誰か、裏付けか反証の論文を教えて!

*4:音は1次元的だけど、絵は2次元、3次元的だ、というような理由で。