冷ゆる散歩

だんだんと寒くなります。
だんだんと寒くなると同時に、
だんだんと温かくもなります。
ぼくはいつでも不思議に思うんですが、
冬ほど「温い」季節ってないと思うんですよ。


「春眠暁を覚えず」と言いますけれども、
冬の眠りもなかなかのモノでしょう。
なにしろ、活気を削ぎますからねえ。
布団屋と裏で手を結んでいるんじゃないのか?


しかし、だからといって、
いついつまでも布団毛布にくるまって
タツやストーブに当たっているわけにも行かず。
何かと用事を思い立てば、
「冷ゆる散歩」をせねばならないのが、冬の厳しさ。


時には気分がスカッとしますけど、
たいていは、手も足も引っ込んじゃうもので。
冷たい空気に身を震わせれば、
温かい空間が手をこまねくという。
冬って、「アメトムチ」使いですよね。


さ、ぼくもそろそろ、
まとわりついた毛布を剥がさなければならないのだけど、
こやつ、厄介だよなあ。
「着られる毛布」なるものもあるそうですけど、
それこそくっついて離れなくなってしまいそうです。


出会いには別れがつきもの。
毛布よ、しばしの別れ!