秋みたいな奴

ぼくは秋が好きです。
しかし、秋はすぐに去ってしまう……


そんなことを考えていると、
ふっと、こんなことを思いました。


すぐに去ってしまうから、好きなのではないか、と。


気配も見せずに、いつの間にかはそこにいて、
潔く、さよならも言わずに去ってゆく。
だらだらと居座るわけでもない。
まるでいなかったかのように、
でもちゃんと、顔を出している。


だからこそ秋を嫌う人もいるのかもしれません。
どちらかと言えば、それは煙たがられる存在に思えます。


でも、ぼくはそんな秋に憧れます。
秋みたいな奴になりたい。
ほんの小さな魅力を振りまく、秋みたいな奴に。