スライム保護団体より

スライム保護団体より、各国冒険者各位に連絡致します。
この度スライム系生態研究所より緊急の調査報告が発表されました。
以下原文記載。

                             2009年8月2日
 各位
                         スライム系生態研究所

スライム系生態研究所(以下、当研究所)は独自の調査方法に依りスライム系
の個体数激減を確認した。この傾向が顕著となったのは、2009年7月11日頃と
推定される。調査協力者の話に拠ると、この日を境に新規冒険者が急増、経験
を積むとしてスライム族スライムを大量に打倒しているとのこと。スライム族
スライムは夥しい個体数を持つため、生態系の変化、絶滅は危惧されないが、
熟練冒険者はスライム族スライムに対して過剰な打倒を行なわないよう注意す
ること。また、スライム族メタルスライム、メルトスライム族はぐれメタルキングスライムメタルキング(以下、メタル系スライム)の個体数も減少傾
向の兆しが見えている。この現象は周期的にみられるもので、熟練冒険者が更
なる技術の向上を目的としてメタル系スライムを打倒することが原因であるこ
とが判明している。ここ一週間において特にキングスライムメタルキング打
倒の目撃情報が多数寄せられており、所謂「メタル狩り」のピークが近づいて
いることが予想される。ただし、メタル系スライムは危害を加えず逃走する個
体が殆どであり高確率で打倒を免れる(当研究所では確実にメタル系スライム
を仕留める冒険者の情報は確認していない)ため、絶滅の可能性はほぼ皆無で
あるとされる。当研究所において生態系の変化が危惧されるのはスライム系の
みが生息するとされる地域における多量のスライム系の打倒である。スライム
系はあらゆる地域に生息しており多少の環境の変化に因る生態系の崩壊はまず
ないとの見解が示されているが、この状況が長期化した際、突然のスライム系
の激減、絶滅も考えられるため、無闇なこの地域への侵入は控えて頂きたい。
今後とも、過度なスライム系の打倒を控え冒険を進めて頂きたい。
                                 以上

以上の調査報告を受け、
スライム保護団体としては、誠に遺憾で御座います。


メタル系スライムに関する件としましては、
逃げ回るメタルスライムを執拗に追い回して倒すといった事例を
こちらでも数多く報告されております。
今後、このような事例が後を絶たない場合には、
メタル系スライム生息地域への毒針、はやぶさの剣ほしふるうでわ等の持ち込み、
メタル斬りはやぶさ斬りまじん斬り等の習得者の立ち入りを
制限する方針を採りたいと思います。


また、スライム系のみが生息するとされる地域へ赴き
スライム狩りを行なう冒険者を徹底して排除致します。
これは、スライム虐待としか言いようのない行為です。
どうしてこのような行為が繰り返されるのでしょうか。
当団体に寄せられました報告の中には、
スライム観察のためにその地域に赴いた人の前で、
堂々とスライム狩りが行われたという事例もあります。
このような心なき冒険者への対策を早急に立てたいと思います。


襲われた際の正当防衛は仕方のないことではありますが、
無害なスライム達に対する虐待は決して行わないように。
周りの冒険者にも呼び掛けて頂くようお願い致します。


スライム保護団体 会長補佐


※この声明はフィクションです。念のため。