スライム保護団体へ突撃取材

――:本日は、最近何かと批判の相次いでいる「スライム保護団体」の
   スラ会長補佐(仮名)に突撃取材します!!
   では、よろしくお願いします。
スラ:よろしくお願いします。
――:まず、昨日未明
   メタル系スライム保護条例違反で冒険者が逮捕されたとのことですが、
   どのようにお考えですか?
スラ:誠に遺憾で御座います。
   容疑者には、保護団体から注意喚起、また通告文をお送りしたのですが、
   御理解下さらなかったようで、残念で御座います。
――:容疑者は
   「経験値源であるメタル系スライムの狩猟を制限するのは理不尽」と
   述べていますが?
スラ:理不尽もなにも、これは明らかな虐待です!
   逃げ回るスライムを追い回してまで倒しているのですよ!
   残虐な行為だと思いませんか?
――:しかし、スライムといえど、
   歴とした「魔物」ではないのか、との声も挙がっていますが?
スラ:そのような考え方もあるかもしれません。
   ですが、スライムには、人間を敵視しない種も多く、
   人語を操る種も数多く存在することをご存じでしょう?
――:ええ、まあ。
スラ:もはや、スライムは人間の敵ではないのです!
   人間とスライムは共存すべきなのです!
   今すぐ、スライムが魔物であるという認識を捨て去って頂きたい!
――:メタル系スライム保護条例に関しては、
   冒険者だけでなく、幾つかの自治体からも
   「町の活気を奪う行為だ」として苦情が殺到しているようですが?
スラ:これもおかしな話です。
   虐待を推進してまで町おこしをしたいですか?
――:しかし、町の人々にしてみれば、
   魔物を倒して街に潤いを与える冒険者は歓迎すべき存在だと思いますが?
   それに、魔物を滅ぼすことも、冒険者の目的の一つでしょう?
スラ:何をおっしゃいます!
   先程も申しましたよう、スライムは魔物ではないのです!
   スライムの狩猟を制限することで冒険者がいなくなるというのは
   本末転倒の事態ではありませんか!?
――:ところで、スラさんがスライム狩りをしているところを
   目撃したという人物がいますが?
スラ:そ、そんなバカなことはないでしょう。(笑)
――:実は、証拠写真があるのですが。
スラ:どこで手に入れたのですか?
――:私が撮影しました。
スラ:貸しなさい。(無理やり奪い取って)ふむふむ。
   ああ、これはスライム救急救命医療チームと一緒に
   保護活動をしていた時のものですね。
――:スライム救急……チームと言いますと?
スラ:ホイミンを筆頭とする、スライム達による医療チームです。
   傷ついたスライムを治癒、蘇生して回っているのです。
   状況がひどい場合には、ザオリーマを使用することもあります。
――:「ザオリーマ」?聞きなれない呪文ですね。
スラ:これだから、学の無い人は困るんです。
――:不勉強ですみません。しかし、この写真は
   まさにスライム狩りをしている現場風景でしょう。
スラ:はいはい、これは躾のなっていないスライム達の教育のために
   プロの魔物使いと協力して活動しているのですよ。
   安心してください。我々保護団体が虐待なんてありえませんから。
――:こちらの写真、
   メタルキングに向かって斧を振りおろしているところから見て、
   まじん斬りをしているようにしか見えないのですが。
スラ:あ、もう時間ですね。
   会長がお帰りになる時間ですので、お暇します。
――:ちょっと待って下さい!質問に答えて下さい!
スラ:では、さようなら。
――:……後味の悪い終わり方となってしまいましたが、
   本日の取材を終えたいと思います。
   冒険者とスライム保護団体との対立は、
   まだまだ収まりそうにないようです。
   以上、DQSL通信社でした。


※フィクションですよーん。念のため。
 我ながら、幼稚なことやっているなと思ったり。