給食ロボット

「はい、全員着席っ。
 当番、食礼して。」


「『しょくれい』ってなに〜?」
「『とうばん』じゃなくって、名前でよぼうよ〜。」


「あっ、低学年教室だったか…
 じゃあ、園田さんと田上くん、お願いね。」


「うわー、『だんじょさべつ』だー。」
「ほんとだ、先生が『だんじょさべつ』してる〜。」
「きのうの社会でおしえたのにね〜。」


「え?
 そんな話 したかなあ…
 と、とりあえず、あいさつしようね。」


「なんのあいさつするの〜?」


「何のって、「いただきます」に決まっているじゃないか。」


「そんなの、うちではやらないもんね。」
「うちもやらなーい。」
「園田さんちとちがって、ちゃんとお金払ってるもん。」


「こ、こら、そういうことを言うな。
 えっと、まあ、じゃあ、食べようか。」


「ちょっと、だれ〜?
 わたしのシチューにニンジン入れたの〜。」
「それ、田上君だよ。ねーっ?」
「ひどーい。
 田上くんってサイテー!」


「ちょっと待て、何を言っているんだよ。
 人参だろうがなんだろうが、ちゃんと食べなきゃダメでしょう。」


「センセー、『きょひけん』ってしってる〜?
 わたしには、たべない『けんり』があるんだからねっ。」


「そんなこと言ったら、給食を作ってくれる人に失礼だろっ!」


「きゅうしょくって、『ろぼっと』がつくってるんでしょ??」
「『ろぼっと』は、なにゆっても おこんないもんねー。」


「ロボット?何のことだ?
 一体、何がどうなっているんだ?」




―――はっ、夢か…
気色の悪い夢だな…
しかし、もしかすると、
この夢は、現実に成り代わって、
既に目と鼻の先にまで迫っているのかもしれんな…