国王の最期

「陛下!敵軍は目前に迫っています!
 外の兵士は、もう壊滅寸前です!」


…そうか。


「私どもの力不足のせいで、
 陛下をこのような目に…
 必ず、必ず、命に代えても、
 陛下をお守り致します!」


もうよい。


「し、しかし陛下…」


もうよいのだ。
これは定めなのだ。


「私どもは、覚悟を決めております!
 何があろうと、陛下だけはお守り致します!」


私の命は、お前達のものほど重くはない。


「陛下…」


お前達は、未だするべき事があるだろう。
私にはもはや、何も残っておらん。
この城と共に散る定めなのだ。


「…」


お前達には感謝している。
最後まで私に従ってくれた。
私はその代償を払わねばならん。


「陛下!敵はもうすぐそこです!」


「私どもは最後まで陛下に従います!
 必ず、陛下をお守り致します!」


ならば、最後の命令だ。
命に代えずに、私を守れ。


「陛下…」


「敵が来ました!」


命令は絶対だ。
わかったなら、行け!


「…わかりました。
 今までのご恩、
 このむねにしかと刻んでおきます。
 また、お会いできる事を信じております。
 …陛下…」


うむ。
何れまた会おうぞ。
さらばだ。