9ー22ー23

お早うさん…ちゃうか。
まあええわ。


あれのことやけどね、なんや調子が上がらへんでな、
もうちょっと待っとったってくれやしまへんやろか。
白銀週に間に合うやろか。
晦日までにはなんとかしまっさかい、
気長に待ったっておくれやす。


…云うて書いたんやけど、それっぽっちやつまらへんなぁ。
おもろいことあらへんかいな…
…そや、こんな話があったわ。
暇やったら聞いとくれやす。


あるところに、ものすご速う飛ぶ鳥が居ったんや。
瞬鳥やら流星鳥云うて呼ばれとったんやけど、
ジェット機をも抜き去る速さやった云うんやから、
並のもんやあらしまへんわな。
群れは四五十は居ってな、まとめて飛んだ日にゃ
流れ星と間違うてもおかしない景色やったそうや。
ほんで、この瞬鳥言うやつは自惚れ屋でな、
今日これ抜いた、今朝あれ抜いたて、仲間に自慢しおんのや。
そやから、寄って集て速さ比べて、誰が一番速いか決めとったんや。


そうやって速さ比べしとるところ、
とんでもないもん見つけてしもてん。
スペースシャトルや。
えらい速さで天突く様を見てしもてん。
そん時は、瞬鳥はあまりの速さに怯んでしもた。
そやけど、そないな事で諦める奴らやおへん、
次お目にかかるまでに、なんとしてもあの速さに追いついたろうと
毎日毎晩必死に練習したんやて。
そうして終に、その日が来たんや。
なんぼなんでも素では無理や思て、発射の前に一斉に飛び立った。
ええ感じに加速しとるところに、後ろから爆音が鳴り響いた。
もう後には退けへん、持てる力振り絞って限界に挑んだ。
その末は…


明くる日、スペースシャトルを差し置いて、
世の中、奇妙なニュースで持ち切りやった。
慌てん坊のサンタクロースがやってきた云うんや。
中には、神の啓示や世の終わりや云うて
スペースシャトルの打ち上げ反対やて運動するもんまで現れた。
なんでも、その打ち上げ場に
ローストチキンが仰山落ちてたんやて。


ご苦労さん、終いやで。
はあ、どんと疲れてしもた。
ほな、おやすみやす。